不育症検査
不育症とは
2回以上の流産(妊娠22週未満)・死産(妊娠22週以降)の既往がある場合に不育症と診断されます。生化学的妊娠(妊娠反応が陽性となるが胎嚢が確認される前に出血とともに消失する)は、不育症には含めません。当院では2回以上の流産・死産の既往がある場合に、不育症の検査をお勧めしています。
不育症のリスク因子
妊娠初期での流産の原因は、大部分(60%~80%)が胎児(受精卵)の偶発的な染色体異常とされていますが、不育症(反復流産・習慣流産)のリスク因子には図1のように不育症のリスク因子はさまざまです。
参考資料:AMED 研究 不育症の原因解明、予防治療に関する研究を基にした不育症管理に関する提言
2019 厚生労働省研究班 – 不育症研究ホームページ
不育症リスク因子の検査について
1)子宮形態検査
子宮形態異常といって、子宮の形が通常と異なる場合、とくに中隔子宮では流産しやすい事が判っています。まずは経腟超音波検査を実施します。、必要に応じて子宮鏡検査を行い、子宮内を直接観察することで、子宮内膜の状態や子宮筋腫などのより正確な診断が可能となります。
2)抗リン脂質抗体検査
抗リン脂質抗体は血栓ができやすくなる原因物質で、血液検査で抗リン脂質抗体が体内にあるかどうかを調べることができます。抗リン脂質抗体は、細かく分けると抗カルジオリピン(CL)IgG抗体、抗β2GPI抗体、ループスアンチコアグラントの3種類があり、いずれか一つ以上が陽性で、12週間以上の間隔をあけて再検査しても、陽性が持続している場合、抗リン脂質抗体症候群の可能性が髙いと診断されます。
これ以外に血液疑固に起因する疾患として知られているのが、血栓ができやすくなるプロテインS欠乏症、先プロテインC欠乏症、出血を増大させる第Ⅻ因子欠乏症などです。
3)夫婦染色体検査(保険適用)
胎児染色体異常の多くは偶発性ですが、夫婦の染色体異常が原因の場合があります。夫婦の染色体検査により、夫婦の染色体異常の有無がわかりますが、検査を実施する医療機関には適正なカウンセリング体制が必要とされているため、当院では実施しておりません。
4)内分泌代謝検査(保険適用)
甲状腺機能亢進・低下症、糖尿病などでは流産のリスクが高くなるため、これらの内分泌代謝疾患の有無を調べる検査を行います。
甲状腺機能血液検査:甲状腺のホルモン検査(FT4、TSH)を行います。
糖尿病血液検査:血糖値検査(空腹時血糖値やヘモグロビンA1c)を行います。
甲状腺機能異常や糖尿病が見つかった場合には、専門医療機関と連携の上、服薬や食事療法等の治療により、できるだけ機能を良好な状態に戻した上で、妊娠する必要があります。
5)流死産胎児絨毛染色体検査(保険適用)
流産の60〜80%は胎児(胎芽)染色体異常に起因するといわれ、リスク因子不明不育症の相当数を占めるのが胎児(胎芽)染色体異常の反復であると考えられています。特に、近年日本人女性の妊娠年齢が高年齢化し、染色体異常による流産数は増加していると推測されます。この検査は当該流死産の原因を知り得る数少ない方法のひとつであり、2回目以降の流産では可能な限り実施した方が良いと言われています。
6)ネオセルフ抗体検査(自費診療)
不妊症・不育症の原因の一つで、近年新たに発見された抗体です。この抗体は血菅の炎症を引き起こすことにより血栓ができやすくなります。反復着床不全の方、子宮内膜症に罹患している不妊症の方の約30%が、不育症の方(原因不明)の約20%が検査陽性であると確認されています。
