先進医療・検査
先進医療とは
不妊治療における先進医療とは、厚生労働大臣が承認した高度な医療技術を用いた治療法のうち、有効性・安全性を一定基準満たすものの、まだ保険適用の対象となっていないもののことです。先進医療は、一般的な保険診療の過程で患者が希望し、医師が必要性を認めた場合に実施されます。
先進医療はすべて自費診療になるため、通常は保険診療と併用することはできません。しかし、承認を受けた一部の先進医療については、保険診療との併用することができるようになりました。
みなとみらい夢クリニックでおこなっている先進医療は以下の通りとなります。すべての先進医療が保険診療との併用が可能です。
保険外併用療養費制度について
保険外併用療養費制度とは保険収載(医療や薬の料金が国の保険制度に登録されること)されていない先進的な医療や治療法を受ける際に、患者が自己負担する費用の一部を保険でカバーすることを目的とした制度です。この制度は以下の3つのカテゴリーに分類されています。
- 評価療養:医学的な価値がまだ決まっていない新しい治療法や新薬など、将来的に保険導入を検討するための評価を行う療養です。これにより、先進医療の安全性や有効性を確認することができます。
- 患者申出療養:患者が未承認の医薬品や治療法を迅速に使用したいという要望に応えるために設けられた制度です。患者からの申出を基に、特定の条件を満たす場合に保険外併用療養として認められます。
- 選定療養:患者が自ら希望して選ぶ療養で、保険導入を前提としないものです。特別な療養環境や、特定の医療サービスを受けるために追加料金を支払うことが含まれます。
タイムラプス撮像法による受精卵・胚培養
【技術の概要】
タイムラプスを用いた培養法は培養器に内蔵されたカメラによって、胚培養中の胚を一定間隔で自動撮影し、培養器から取り出すことなく、観察、評価、培養ができるため、気相や温度の変化なく胚へのストレスが軽減され、培養成績の向上の効果が期待できる技術のことです。胚の状態を連続的にカメラで撮影することが可能なため、それらの情報を基に妊娠に結び付く可能性が高い胚を選択することができることから、臨床的妊娠率の上昇、培養成績・着床率・生産率の向上が期待できます。
【適応症】
不妊症(卵管性不妊、男性不妊、機能性不妊又は一般不妊治療が無効であるものに限る)
強拡大顕微鏡を用いた形態学的精子選択術(IMSI)
【技術の概要】
IMSIとはICSI(顕微授精)の方法のひとつです。従来の顕微授精(ICSI)を実施する際には、顕微鏡下で精子を約200~400倍に拡大して精子を選別しますが、IMCIに使われる顕微鏡は通常の1000倍以上(最大6000倍)の高倍率で精子を選別することができます。IMSIを実施することで、精子のより詳細な形態と、精子頭部内の空胞(精子の頭部の中が一部スカスカになっている状態)や中片部(精子の頭部と尾部の間)の奇形まで見ることが可能になります。IMSIを実施することで、受精率や胚発生率の向上と流産率の低下への効果が期待されます。
【適応症】
不妊症(卵管性不妊、男性不妊、機能性不妊又は一般不妊治療が無効であるものに限る。)
子宮内膜刺激術(SEET法)
【技術の概要】
SEET法とは、体外受精により作出された受精卵を体外で5~7日間培養し、得られた胚盤胞は一旦、凍結保存します。この際に体外培養に使用された培養液を胚盤胞とは別の容器に封入し、凍結保存します。この培養液(リンス液)の中に、受精卵が成長する過程で排出される伝達物質が含まれていると考えられる。胚盤胞移植は自然排卵周期またはホルモン補充周期で行う。自然排卵周期の場合は月経開始10日目頃より数回の診察を経て排卵日が確定すれば、排卵後2~3日目にリンス液を子宮内に注入します。さらに排卵後4~5日目に凍結保存した胚盤胞を1個融解して移植を行います。ホルモン補充周期では月経開始2日目から卵胞ホルモン製剤の投与を開始し、月経12~14日目の診察でホルモン値や子宮内膜厚の確認後、問題なければ月経15日目より黄体補充を開始します。黄体補充開始後2~3日目に、リンス液を子宮内に注入します。さらに黄体補充開始後 4~5日目に、凍結保存しておいた胚盤胞を1個融解して移植を行います。
【適応症】
胚移植を必要とする不妊症(卵管性不妊、男性不妊、機能性不妊又は一般不妊治療が無効であるものに限る)
膜構造を用いた生理学的精子選択術(SwimCount™ Harvester)
【技術の概要】
基本的な体外受精のプロセスでは、男性側から得られる精子は精液中の不要な細胞や雑菌、死んだ精子などを分離するために、密度勾配遠心法と呼ばれる方法や、スイムアップ法という方法を組み合わせた上で良好精子のみを抽出します。遠心分離は、遠心機を用いて実施しますが、300G以上の高い物理的な力をもって分離するため、精子にとってもストレスになります。密度勾配遠心法によりDNAの損傷であるDNA断片化(DNA Fragmentation)が発生するケースがあり、そういった精子を用いて体外受精を行った場合、受精した胚の発育不良、着床・妊娠率の低下や流産率の増加などが報告されています。
精子にストレスがかからない抽出方法として注目されたのが、マイクロ流体法です。マイクロ流体力学を用いた精子調整用チャンバーを使用することで、従来法と比べて、より多くの前進運動精子をDNA断片化の少ない状態で抽出できることが報告されています。また、マイクロ流体力学を応用したデバイスを使用して精子を選別し、顕微授精(ICSI)によって受精した胚が従来法に比べて、より多く胚盤胞まで成長し、染色体異数性のない正倍数性胚の割合が高いことが報告されています。
【適応症】
卵管性不妊、男性不妊、機能性不妊又は一般不妊治療が無効であるものに限る
子宮内細菌叢検査1(EMMA/ALICE)
【技術の概要】
子宮内細菌叢検査 (EMMA/ALICE)は、採取された子宮内膜の検体からDNAを抽出した後に増幅し、次世代シークエンサー (new generation sequencer:NGS)を用い細菌の目印となる16SリボソームRNA遺伝子の遺伝子配列を同定する検査です。この技術を用いることで、子宮内膜細菌叢を分析することが不可能な細菌も検出することが可能となり、子宮内膜細菌叢を分析することができます。EMMA(子宮内マイクロバイオーム)検査は、子宮内の乳酸菌の種類と量を調べ、子宮の細菌環境が胚移植に適した環境かどうか調べる検査です。ALICE(感染症慢性子宮炎)検査は、子宮内の細菌の中で特に慢性子宮内膜炎の原因となる細菌の検出をします。
【適応症】
慢性子宮内膜炎が疑われるもの
子宮内膜受容能検査(ERA)
【技術の概要】
子宮内膜を採取し、次世代シークエンサー(塩基配列を解読する装置)を用いて遺伝子の発現を解析し、内膜組織が着床に適した状態であるのかを評価する検査のことです。子宮内膜の着床できるタイミングと移植のタイミングをより合わせやすくするためにおこなわれます。
【適応症】
不妊症(卵管性不妊、男性不妊、機能性不妊又は一般不妊治療が無効であるものであって、これまで反復して着床又は妊娠に至っていない場合)
子宮内膜受容期検査(ERPeak)
【技術の概要】
子宮内膜を採取し、RT-qPCR(遺伝子の発現レベルと解析する装置)を用いて遺伝子の発現を解析し、内膜組織が着床に適した状態であるのかを評価する検査のことです。ERA同様、より良いタイミングを探るために用いられます。
【適応症】
不妊症(卵管性不妊、男性不妊、機能性不妊又は一般不妊治療が無効であるものであって、これまで反復して着床又は妊娠に至っていない場合)
子宮内フローラ検査
【技術の概要】
膣や子宮内に存在するさまざまな種類の細菌を検査する、子宮内フローラ検査。善玉菌が減ったり、細菌のバランスが崩れると着床や妊娠率が低下したり、流産や早産率が高くなったりする可能性があることから、善玉菌とラクトバチルス属菌の割合を検査します。
【適応症】
不妊症(卵管性不妊、男性不妊、機能性不妊又は一般不妊治療が無効であるものであって、これまでに反復して着床又は妊娠に至っていない場合)、 慢性子宮内膜炎が疑われるもの又は難治性細菌性膣症
β2GPIネオセルフ抗体検査
【技術の概要】
ネオセルフ抗体検査は不育症の原因の1つであるβ2GPIネオセルフ抗体を採血した血液から高感度に検出する検査です。不育症患者の半数以上は原因不明であり、治療法がわからずに流産、死産を繰り返しています。β2GPI ネオセルフ抗体が不育症を引き起こす重要な要因である可能性が示唆されています。検査陽性の方は適切な治療をおこなうことで、妊娠率・生児獲得率が改善する可能性があります。
【適応症】
不育症の方(既往流死産回数が2回以上の方)
